どうしてうつ病になるのかという原因については、明確な答えが出ていないのが現状です。
うつ病は、自殺に繋がる病気として知られています。特に日本では、自殺者が1998年に3万人を超えて以降2011年の統計まで、ずっと3万人以上が自殺で亡くなっているのです。
10万人当たりの自殺者数は約25人で、他の先進国と比べても、かなり高い数値であることは事実で、例えばアメリカと比較すると、倍以上となっているのです。
この数は、交通事故死の4倍以上であり、諸説があるものの、この内の90%以上が、何らかの精神疾患であると言われており、深刻な状況になっています。
さらにこの内60%は、うつ病と言われているのです

うつ病かどうかを確認するチェックリストがあります。
アメリカ精神医学界の診断基準(DSM‐Ⅳ)は、次の9項目の内、5つ以上が該当し、それが2週間以上継続している時「うつ病」と判断します。

 (1)1日中気持ちが沈む
 (2)これまで好きだったことが楽しく感じられない
 (3)体重や食欲が落ちる
 (4)眠れない、または眠りすぎる
 (5)ソワソワ落ち着かず、または反対に動作が鈍くなる
 (6)毎日体がだるくなり、何もする意欲がない
 (7)自分がだめな人間と考える
 (8)何も決められず、集中して考えられない
 (9)死にたいと思う

うつ病の原因として、セロトニン仮説(セロトニンという脳内の神経伝達物質の減少が、うつ病の発症に関与しているという説)が有力と言われていますが、セロトニンを補う薬では治らないと言われています。
医学者によるうつ病の記述は、紀元前5世紀ギリシアのヒポクラテスによるのが最古と言われています。そこでは、メランコリー(melancholia)と言われ、これは黒胆汁のことを言い、胆汁がうつ病の原因とされていたのです。
東洋医学では、霊枢経脉篇の足の陽明胃経にその端を読むことができます。
「是れ動ずる時は病む。洒々(さいさい)として振寒し、善く呻(うめ)き、数々欠し、顔黒し。病至る時は人と火とを悪み、木声聞く時は惕(てき)然として驚き、心動ぜんと欲し、独り戸を閉じ牖(まど)を塞いで処(お)る。甚だしきときは高きに上って歌い、衣を棄て走らんと欲す…(以下略)」とあり、現代のひきこもりやそうの状態が古代にもあったことを記しています。東洋医学では、このような精神障害や衰弱を、全身14ある経脈の内、特に胃経の変動によって起こるとしています。しかしながら実際には、そのような単純なものではないと考えています。

ワイスマン教授を中心とする研究グループは、1970年代半ばから1980年代後半にかけて、北米、プエルトリコ、西ヨーロッパ、中東、アジア、環太平洋地域で、3万9千人の地域住民に対する疫学調査と、4千人を対象とする家族調査を行っています。
その結果、全ての国で、うつ病にかかっている人が増えていること、うつ病は各国の歴史や社会情勢、経済状況といった社会文化的な要因を受けて発症すること、さらには、現代社会がストレスの多い環境であるということが判明したのでした。
我が国においては、昭和59年(1984年)に10万人位であったのが、平成10年(1998年)にはその4倍以上に急増し、なお増え続け、その総数は、何と90万人を超えていると言われます。

うつ病などの原因は、いまだに不明とされていますが、コルチゾールの値が高いというのは知られている知見であり、その解決を図ることは重要です。
そこで、過呼吸、不眠、食欲不振、手足の冷え、終日気持ちが沈んでいて、だるさも常にあり、何もする意欲がない、生理不順もあった患者に対し「ストレスフリー療法」を実施致しました。

このように、先述のうつ病の診断基準に5つ以上合致し、うつ病であることが判断されます。「ストレスフリー療法」を実施しながら並行して、百会、上星に筆者が開発した「ストレスフリー器」で加療しました。その結果、末梢の血流が3倍以上に増え、深部体温の上昇がみられたのです。また、最初の治療以後は、寝つきも改善された他、治療後3日後からは、睡眠薬も本人の判断で中止していました。
さらに、初診から15日後、3回目の治療では、睡眠の改善が著しく、目覚ましが鳴るまで熟睡出来ていることが判ったのです。
そして、初診から2回の「ストレスフリー療法」後、つまり、初診後12日目には、心療内科の主治医から、著しい回復を認められ、職場復帰を薦められるほどに回復していました。



3回目の治療も順調でした。末梢の血流は、2・9倍となり、さらに脳の血流も、2・1倍に増えていることが確認されたのでした。採血の結果でも、ストレスホルモンのコルチゾールが、9・8から7・6に下がり、ACTHなどは、16・3から8・4まで、著しく下降していたのです。「ストレスフリー療法」で、すっかり体調が戻り、職場復帰が果されたのでした。

ストレスフリー療法研究会 了徳寺健二会長著『長生きのスイッチを見つけた』より一部抜粋