白内障も血流低下が全て(会長著作本より抜粋)

 眼科からの帰路、私は猛然と白内障からの脱却を、模索し始めていました。
今まで読破してきた数々の医学書の中の記述に、思いを巡らせていたところ、ふと数々の知見やデータから、眼球における血流不足ないしは血流障害が白内障の原因ではないかという考えが閃(ひらめ)いたのです。その一つは、白内障の患者には、糖尿病に罹患した人が圧倒的に多いという事実です。糖尿病患者の方々においては、血糖をコントロールする過程で、かすみ感や近くのものが見えにくくなるなどの異常を訴えることが知られています。

 ほとんどは一過性の遠視などであるとされ、これは水晶体の厚さが変化することで起きると知られています。水晶体においてもグルコースは、濃度勾配により水晶体内に流入します。水晶体のグルコースは、水晶体膜を自由に移動し、房水に抜けると言われていますが、高血糖時に、グルコースから変質した物質の貯留によって、水晶体の肥厚や混濁が起きるとされています。これは一過性で元に戻っていきますが、この一過性の症状も、代謝や循環の低下が基礎にあると言えます。同じようなことが、緑内障においても指摘されています。

 緑内障は、現在では糖尿病網膜症を抜いて、日本における失明の原因の最大疾患となっています。緑内障は、眼圧が高いことによって、視神経が侵される病気で、このことによって視野が失われ、さらに失明に至る恐ろしい病気です。ところが最近、眼圧が正常にありながら、緑内障が起きている症例が増えていることがわかってきました。正常眼圧での緑内障は原因がはっきり解明されていませんが、血行障害や、視神経が弱ることによって、通常の眼圧でも緑内障を発症するのではないかと言われています。眼圧が正常な人と高い人との比率は正常な人のほうが圧倒的に多いため、発症数が増えているに過ぎません。眼圧の高い人が失明する危険が高いことは、いうまでもありません。

 眼圧は、眼球内の毛様体と言われる部分で作られる、房水という透明な液体によって成り立っています。この房水の適正な圧力によって、眼球が正常な形状を保ち、血管のない角膜や水晶体に、グルコースや酸素を供給しています。したがって房水の適正な循環や圧力が阻害されると、視神経や水晶体の維持や機能に大きな影響を及ぼします。

 特に視神経は、眼圧が高まると圧迫され、血流を阻害されるため、神経細胞の死を招き、失明に至ると考えられています。つまりたとえ眼圧が正常でも、全身的な血流の低下が視神経細胞にも及べば、同様の影響をもたらし、視神経に影響があると考えられるのです。

 水晶体は、ガラスのように透明な膜で水晶体全体面を包む水晶体皮膜と、水晶体の前面にだけあって、単層の細胞からなる水晶体上皮と、6つの側面を持つヒモ状の水晶体線維から成り立っています。この水晶体も、房水により酸素やグルコースなどの養分を供給されています。水晶体という名前からして、硬く無機質な物質のような錯覚に陥りますが、実際には水晶体の中にたくさんの小川があって、豊潤な房水の流れが存在するのです。事実、水晶体は弾性に富み、圧すと粘性の溶液が浸出すると、解剖学の権威でもある相川英三博士から聞きました。 白内障で水晶体を取り除き、物体である人工物のレンズを入れると、網膜が急激に老化する現象が知られています。
正常な眼球内の水晶体で営々と果たされていた循環が、人工物で作られた無機質な水晶体への置換によって阻害された結果であることは、容易に想像できることです。

 微細な管を配して生体の水晶体に極めて近い、房水の浸潤と循環を果たす人工水晶体の開発が望まれます。
眼圧や眼球の適正な形状を支持する房水の健康は、血液とリンパ管による適正な栄養供給と不純物の排出によって成り立っていることはいうまでもありません。私は、白内障は水晶体の老化や循環障害による代謝産物の貯留、グルコースや酸素などの供給不足による水晶体細胞の壊死が原因である可能性が極めて高いと考えているのです。 臨床的にも、視力が大幅に低減した白内障の方が、運動と野菜などの摂取を中心とした食生活の改善によって治癒した事例が報告されています。

 特に運動は、1日2万歩以上の歩行を推奨されていることが注目されます。
つまり、全身的な血流を中心とした循環の向上によって、全身の新陳代謝を高めることが改善につながるということです。

 私はこのような眼球の解剖学的考察が、極めて重要と考えました。眼球内における房水の流れと、水晶体の豊富な房水の循環の存在がカギになっていると考えたのです。
私たちの体では、毎日1兆もの細胞が生まれかわり、全身の60兆の細胞は約3か月で入れ替わると言われています。つまり、適正な眼球内循環が回復されると、水晶体が復活していくことが大いに期待できるのです。 であれば、全身の血流を改善することで新陳代謝が高まり、白内障にもよい影響を及ぼすに違いありません。 当時開発中であったストレスフリー療法を早速試してみました。すると治療直後から、目のスッキリ感が戻ってきました。かすみも、薄皮を一枚一枚とめくるように、改善されてきたのです。
どこでも時間が空いたら、15分間の「ストレスフリー療法」を実施できるようにしました。
この努力は、意外にも早く報われることになります。

 治療開始から9日後には、白内障を自覚し始めた日のかすみが、不自由を感じない程度まで回復してしたのです。
若干違和感を残しているものの、全く不自由さがなくなったのです。
ここまでくればもう手術して、人工の水晶体に入れ替える必要はないという判断に至りました。
特筆すべきは、違和感は感じなかったものの早期の手術を勧められた右目の視力の回復が顕著であった事実です。

= ストレスフリー療法研究会 了徳寺健二会長著『長生きのスイッチ』より抜粋 =