不眠の解消(会長著作本から抜粋)

 歳とともに、若い頃のようによく眠れなくなった、という話をよく聞きます。
なかなか寝つけない、あるいは眠りが浅く、夜中にすぐ目が覚めてしまう、そのような悩みを抱えていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。私たちに眠りをもたらすのは、メラトニンという脳内物質であることは広く知られています。夜になるとメラトニンが分泌され、このメラトニンが体温を下げることで、私たちは眠りに入ります。
 
 私たちの体は、体温が0・5℃から1・0℃下がると、眠りにつくようにセットされています。
メラトニンは、この体温を下げる働きをしているのです。 通常は明け方にメラトニンの分泌がなくなり、これと同じくしてコルチゾールの分泌が高まって、肝臓などに蓄えられたグリコーゲンや脂質を分解し、糖などエネルギー物質に変換して、目覚めて活動する体制を作りはじめます。 実は、この体温を下げる役割に関わるのは、先述したメラトニンだけではありません。 手足の末梢の血流が、重要な役割を果たしています。

 みなさんも眠くなった時、手足が温かくなるのにお気付きになったことがあるはずです。 私たちの体は眠る時、急激に体温が1度くらい下がると睡眠に入れるように設計されています。体温を下げるのに好都合なのは、手足の指などの末梢に血液を多く流すと、細くなった指先や薄い皮膚が有効に働き、ラジエーター(冷却装置)の役目を果たして、体温が下がるという仕組みになっているのです。
ですから冷え症の人や過度にストレスがかかっている人は、手足の末梢の血流が悪くなり、熱を放散できないため、睡眠障害が起きやすくなるのです。「ストレスフリー療法」は、治療直後から末梢の血流が大幅に増加します。

 ほとんどの患者様は、手足がポカポカになり、冷え症が著しく改善されるのです。治療中に大多数の患者さんが、あまりに心地良くて軽い寝息をたてていらっしゃいます。実際、ほとんどの方が「夜眠れない」という悩みを解消されたと言います。
 
 私の場合、いつも寝てから 3時間ほどでいったん目覚めることが多かったのですが、「ストレスフリー療法」を受けるようになってからというもの、1回も目覚めることがなくなってきました。
「ストレスフリー療法」では、治療直後から末梢の血流が 2倍以上に増えるとともに、血液中のコルチゾールが著しく減少します。
コルチゾールはストレスホルモンといわれ、ストレスを受けると、防御反応によって床下部にあるストレス中枢からの指令で副腎皮質からの分泌量が増えることがわかっています。コルチゾールが増えると、血流が悪化するだけでなく、体は肝臓などに蓄えられたグリコーゲンを糖に戻し、エネルギーに変えてしまいます。その結果、眠りたい時でも活動態勢となり、睡眠を妨げることになりやすかったのです。

 また、睡眠の重要な意味に、成長ホルモンの分泌があります。
昔から「寝る子は育つ」と言いますが、赤ちゃんの場合、筋肉を発達させたり、身長を伸ばしたり(骨の伸長)脳の発育や内臓の形成などは、睡眠中に成長ホルモンが分泌されることによって起きています。 一方、大人にとっても、この成長ホルモンは重要な役割を果たしていることが知られています。大人の場合は、この成長ホルモンが組織の修復にかかわるのです。

 寝不足が続くと肌荒れが生じるのは、その代表的な例であって、睡眠中に分泌される成長ホルモンは、メラトニンの分泌との時間が極めて合致していることも、注目に値します。 きちんと眠ることは、健康の基本なのです。