理論と実践をつなぐ|インタビュー

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石 こんにちは.

岡 こんにちは.

石 今回は,現場で活躍されている先生の背景・成り立ちについてお伺いします.

先生のお話が,これからトレーナーを目指す人たちの参考になればと考えています.

よろしくお願いします.

岡 よろしくお願いします.

石 事前にアンケートをとらせていただきました.

その中で,小さい頃の夢は,アーノルドシュワルツェネッガーになりたかったということですが,

きっかけは何だったのでしょうか??

岡 幼いときに,アーノルド主演の映画「コマンドー」を見た事です.

筋肉に衝撃を受けました.

「コマンドー」を見てカッコいいと思わない男はいないはずです.

そして気が付けば,腕立て伏せなどの筋トレをしていました.

石 さすがです.コマンドーは最高でした.

そのときからトレーニングが始まったわけですね.

私は,コナンザグレート(原題Conan the Barbarian)がかっこ良すぎたのを覚えてます.

となると,シュワちゃんの筋肉は本能に刺激を与えるようなものであり,

現在の岡田先生という人物のきっかけになったわけですね.

柔道を始めたのも??

岡 そうです.強くなりたいと思ったからです.

男なら誰しも思う事で,特別なきっかけはありません.

開始は高校1年生からです.やはり開始時期が遅く,技術的な能力が低いので,

体力を人よりも強くしようと多くのトレーニングをこなした事が今につながっていると思います.

石 トレーニングを始めたことも,柔道を始めたことも自発的ですね.

しかし,トレーナーは強さにあまり関係してないように思えます.

いつ頃,どのような理由で,トレーナーになろうと考えましたか??

岡 大学柔道部の稽古中、膝前十字靭帯を断裂し、再建術を受けました。

そのリハビリや、強化のためのトレーニングをしていく過程で、興味を持ちました。

石 なるほど.ただ,競技者とサポート側は主役と裏方のような違いがあります.

つまり,強さを求めるものとそれを支えるものでは大きな違いがあるように感じます.

怪我をする前と怪我をした後で,将来の自分の像・目標が変わりましたか??

岡 怪我をする前はトレーナーの存在を意識する事もありませんでした.

そうしたサポートを受けられる環境にいませんでしたし,

自分の身体は自分で強化するべきと思っていたのです.

その後,大きな怪我をしてしまい,手術,リハビリに身を置く中で(膝前十字靭帯断裂と再建術),

トレーナーや治療家の存在は本当にありがたいものだと肌で感じました.

なぜなら,専門知識や技術がないと対処できない事を知ったからです.

しかし同時に,治療だけでなくトレーニングや栄養などもっと幅広いアドバイスやサポートも欲しい,

という思いもありました.今後,どのようなトレーナーサポートが必要かを明確に感じ,

これを職業にすべきと感じたのはこの時です.

そしてその当時は,

そうしたサポートを「一挙に」提供できるスペシャリストはいないと思っていました.

そこでまず最初に自分がそうなってしまおうと考え,

いろいろな専門的知識・技術・経験を身につける目標設定をして,

勉強やトレーナー活動を始めました.

怪我をしたことで,将来像が変った,将来像が明確になった,と言えると思います.

石 これからトレーナーを目指す人たちには,非常に参考になる部分ですね.

「ただトレーナーになりたい」ではなく,「どのようなトレーナーか」という部分が非常に明確です.

シュワルツェネッガーもある大学の卒業講演で成功するための6つのルールの話をしていて,

その冒頭で,

「あまりに多くの若者が,両親や先生,あらゆる人たちから多くのアドバイスをもらっている.

しかし,最も重要なことは,じっくり考えて,自分は誰になりたいのかを自問自答することだ.

何になりたかではなく,誰になりたいかだ」と述べています.

岡田先生の場合は,怪我をしたことで誰になりたいかが明確になったのですね.

では,トレーナーになってからの部分についてお聞きしたいと思います.

実際トレーナーになって,想像しているものと違ったことはありましたか??

岡 医療スタッフだけでなく,競技コーチ陣との連携も非常に重要であるという事です.

学ぶ過程では,医療スタッフの連携が強調されている気がしますし,

医療専門職としての気持ちも芽生えていきますので.

石 本当に重要ですね.私も全柔連科学研究部部員として現場のサポートをしていますが,

コーチ陣やサポートスタッフとの連携,情報共有が非常に重要だと考えています.

この連携部分で意識していること・注意していうることはありますか.

この部分は,なかなか学校では学べないことだと思います.

岡 コーチ陣こそが強化方針の決定者ですから,コーチ陣とのすり合せがない限り,

独りよがりのトレーナー活動になってしまうと思うのです.

コーチの多くは人生をかけて戦ってきた人です.

したがって人生をかけて戦っている選手の気持ちがよくわかるのだと思います.

多くのトレーナーにはこの強烈な経験がないので,

やはりコーチ陣との連携なしでは選手の目的達成のサポートにならない事もあると思うのです.

石 その通りだと思います.

私も多くのサポートスタッフと接してきましたが,

独りよがりの活動をしている人もたくさんいたように感じています.

これからトレーナーを目指す人たち,これから職業トレーナーとして現場のサポートする人たちには

コーチ陣や他のサポートスタッフとの連携を大切にしてほしいと思います.

このような連携部分も難しいことかもしれませんが,

岡田先生がトレーナーになって,一番難しいと感じたものは何ですか.

岡 「やらされている」選手への対応です.

石 なるほど.それは難しそうです.

実際,職業トレーナーとしてどのような対応をしていますか.

また,その対応について葛藤などはありますか.

岡 選手の意識に変化をもたらしていく事を心掛けています.

そのためには「私自身が見せる」という事を重要視しています.

真剣に取り組めば必ず身体は変わるんだ,という事の体現者である事が大切だと思っています.

体現者であるという事は,職業トレーナーの責任でもあると思います.

石 自身の体作りにも手を抜かないのは,そういうところからきているのですね.

岡 そうです.そして,それを選手が目の当たりにすると,

どうすればそのようになれるのですか?と興味が芽生えます.

強くなる事に対してネガティブな選手はいないですからね.

そのように意識が変化したところで,理論を説明して納得してもらうのです.

このときの吸収が一番良いと考えています.

このように自ら取り組みたくなるように仕向けていくのが私の流儀です.

最初から高い意識を持っていてくれれば何も言う事はありませんが,

葛藤はありません.むしろ快感です

石 素晴らしいですね.

「やらされている」選手への対応には,葛藤がありそうですし,

ストレスにもなりそうですが,それを快感にしてしまうところが…

さすが筋にストレスをかけまくって,筋肥大させているだけあります.

次は,話し辛いところをお聞きしたいと思います.

様々なところで活躍されている先生の失敗談についてです.

皆の参考になると思いますし,あまりに完璧過ぎると

これからトレーナーを目指す人たちが不安になってしまうかもしれないので.

事前アンケートでは,「駆け出しの頃に対応した全て.」と答えられています.

本当に話し辛いところだと思いますが,1つだけ具体的にお願いします.

岡 わかりました.

腰椎椎間板ヘルニアと診断された選手がいて,典型症状ばかりを検査してしまいました.

専門的な話なのですが…

簡単に説明します.

このケガは腰のケガなのに,足の筋肉を動かしにくい,足の感覚が鈍いといった症状が特徴です.

未熟な私は,腰ではなく足ばかり診てしまったのです.

その選手は腰を傷めて私のところに来たのです.

しかし私は,実際にその「人」が感じている問題…「腰が痛い」ではなく,

足が動かしにくいなどの教科書上の「ケガ」の特徴ばかり見てしまっていたのです.

石 なるほど.教科書の通りの対応をしていたが,実践ではうまくいかなかったということですね.

そのときは,最善と思っていたけど,今振り返ると最善の対応ではなかったということですか.

岡 その通りです.そのときの事を思い出すと,患者様には本当に申し訳なくなります.

しかしそれが今の自分に活きています.

日々学び,進化し,そのときの最善を実践に還元していく事が大切なんだと思います.

振り返ってみても今も昔も同じことをしているようではいけないのかもしれませんね.

石 その時の最善が,今振り返ると最善ではない.ということは,進化しているということですね.

最善を尽くしつつも,常に満足せずに,学び続ける必要があるということですね.

では,職業トレーナーとして,選手の様々な要望に対応しなければならないと思います.

どういう時に,達成感を感じますか.

岡 選手が目指すフィジカルコンディションに近づけたとき.

痛みの解決,可動性の向上など即時効果もですが,

筋力・筋量の増加,体脂肪の低減など,長期的な効果も含めてです.

もちろん勝利が最も嬉しいのですが,勝負の世界はフィジカルだけでは決まりませんし,

それ以前に「身体」に関するスペシャリストであるべきと思っているので,

まずはここをおさえたいのです.

石 なるほど.試合の勝敗だけにとらわれるのではなく,要望に対してどれだけ応えられたか,

ということにおさえないといけないということですね.

そういう部分で達成感を感じるためにも,適切な評価が必要ですね.

では,トレーナーとしての師匠や尊敬する人はいますか.

岡 トレーナーというわけではありませんが,恩師の石井直方先生(東京大学教授)です.

トレーニングを実践的にも科学的にも深く高いレベルまで追求している事に

強い尊敬の念を抱いています.

石 師匠や尊敬する人に近づきたいと思いますか.

岡 思います.しかし,結局同じになる事はないと思います.

背中を追って,近づいていきながら,かつ自分だけの方向性を見出して,

誰とも違う存在になっていきたいと思っています.

石 尊敬する人を目指すこともモチベーションにつながると思いますが,

トレーナーとしてモチベーションを高めるものは何ですか.

岡 意識の高い存在.選手であれ,親御さんであれ,指導者であれ,

本学の学生であれ,全てです.

貪欲な存在を感じると,負けていられない,とか,

しっかりと応えたい,と思います.

石 学生からも刺激を受けるということは,互いに刺激し合って成長ができていくんですね.

素晴らしいです.

話しは尽きないのですが,もうそろそろ締めくらないといけません.

もう1つ2つの質問で終わります.

今後,日本のトレーナー業界はどのようになると思いますか.

岡 2020東京五輪によって、より社会からの認知度があがると思います.

それだけ仕事のマーケットも広がりますが,

一方で社会からの評価も厳しくなると思います.

やりがいを感じる事ができる仕事をとるためには,

しっかりした実力を身につけておく事がより重要性を増すのではないでしょうか!?

石 東京五輪は,スポーツに関わる人たちにとっては,チャンスかもしれません.

そのチャンスをつかむためには,まずは実力をつけなければならないということですね.

了徳寺大学は,真の実力がつけられるような教育していく必要がありますね.

先生方の腕にかかってますね(笑)

最後の質問です.トレーナーとは??

岡 「身体に関するスペシャリスト」

知識,技術だけでなく,それらをアップデートする情報検索・処理能力.

そして自ら実践する態度.

石 本当に勉強になりました.

これからトレーナーを目指す人たちにとっても非常に参考になったと思います.

ありがとうございました.

岡 ありがとうございました.

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