IJF審判・コーチセミナー

1月29,30日の両日、講道館にてIJF審判・コーチセミナーが開催され、参加しました。

ルール自体に変更はありませんが、解釈の確認、そして非常に微妙な状況に関して、映像や実際に柔道衣を着て畳の上でのデモンストレーションを通してチェックを行いました。

以下に私の主観を通して理解した項目について記載します。

・場外指導について
片足が出た場合、すぐに場内へ戻る、或いは技を掛けるかすれば指導にはならない。両足ともに出た場合は指導。

・押し出し指導について
場外へ押した選手の手が真っ直ぐに伸びていれば、押し出し指導。
手を曲げていても頭で押していることが確認されたら、押し出し指導。

・足取りについて
小内巻込や肩車などの際に、掛ける選手が両手で柔道衣を掴んで技を掛けた場合で脇が足を挟むような形になっても反則とはならない。しかし柔道衣を掴んでいる手が片手の場合では、足を挟むような状態になった場合、反則となる。片手での小内巻込では、よほど明確に腕が上に上がっていないと反則と判断される可能性が高い。

片方の選手が技に入って投げようとしている際(例、低い背負投や巴投)に、足を触って寝技に移行しようとした場合は反則となる。(相手の技を足を掴んで防いだとみなされることから)これは一方が膝立ち、もう一方の選手が立位の際も同様で、膝立ちの選手が相手の攻撃に対して手や腕で防御(脇を開けて)した場合は反則となる。しかし巴投を掛けた選手が寝技に移行するために、通称:草刈りと呼ばれる形で相手を倒したり、相手のかかとを持って倒したりする場合は技のポイントには関係ないので、反則とはならない。

・ベアーハグに関して
仕掛ける選手が片手でも両手でも柔道衣を持った後、行う場合には有効。手を握っていて離してから掛けに行った場合は指導。また相手が柔道衣を掴んでいても、技を掛ける本人が掴んでいなければ指導。

・寝技について
展開がある場合、審判はしっかりとマテをかけずに寝技の攻防をさせる。
抑え込んでいるものが、相手に手と頭を足で絡まれたら、解けたとなる。

・技の効果の判断について
内股に対して横車などで返そうとした場合、しっかりとした極めがない場合は、返し技の効果とみなされる場合が多いと理解しておいた方がよい。
背中がついているかどうかを判断するため、スーパー一本とする判断は、非常にまれと考えた方がよい。

・立ち姿勢からの脇固めについて
怪我につながることから、厳しく反則を適用していく。また明確に脇固の形でなくとも、例えば片手での袖釣込腰や内股などで相手の肘を決めるような形で体を捨てた際には反則が適用される可能性が高い。

以上のような情報を得たのち、先日のグランドスラム・パリ大会を視察しました。

やはりセミナーの翌週であったことから、セミナーで確認されたことがしっかりと適用されており、足取の判断や返し技の効果を認める傾向、場内外の指導の与え方や寝技の時間など、全般的に納得のいく裁定であったように思います。

こうした情報を知っているかどうかで、試合に大きな影響を与える可能性がある為、ここでお伝えさせて頂きました。ただあくまで私の主観ですので、ここに記載したことが絶対ではない可能性があることはご理解ください。

監督

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